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劇団だっしゅ「hope~希望~」追憶日記【マリヤ編】

作品全体の感想や追憶はまた別のエントリーにて。
http://mimine.blog9.fc2.com/blog-entry-2609.html

こちらでは、私が演じた役柄についての事を書こうと思います。
これまたやたらと長文。
こんな、役作りのネタバレ的なことを公に書くべきではないのかもしれないけれど、自分の記録と思い出として記しておきます。

今回の私が演じた役、「伊藤マリヤ」は交渉人「デューク早乙女」の秘書でした。
サトーヨーカドーの人間ではなく、大企業と地元商店街の軋轢の間に入って、どちらにも良しとされる条件で折り合いをつけさせる交渉人。
サトーヨーカドーの現場担当「山田幹夫」と3人で、幸福満載商店街の面々の前に立ちふさがります。

役作りにおいて、今回ほど「衣装」「ヘアメイク」ありきになったことはありません。
語り尽くすとめっちゃ長いので、衣装に関することだけで、1つのエントリーにまとめてみましたので、よろしければご一読ください。(写真多目)
http://mimine.blog9.fc2.com/blog-entry-2608.html


こちらの衣装編のエントリーにも書いたのですが、台本を読んで最初に描いたイメージはドラマ「リーガル・ハイ」の黒木華ちゃん演じるラブ&ピースの本田ジェーン弁護士。
堅い法律用語なども駆使するのですが、当たりや口調はどこまでもライトで、軽やかすぎておちょくってるような感じ。
言ってることに嘘はないだろうけど、真実すべては語っていないような胡散臭い感じ。
岡田将生君演じる、羽生弁護士に心酔しているところも重なります。

そんな感じで作っていったら、きっと大規模小売店舗法の説明や、商店街の人々に対する説明会などの堅いセリフも、ジュディオングのネタシーンも自然な流れで両立できるんじゃないかなと思って作り始めました。

そんなアプローチだったので、セリフ回しも稽古を重ねる度にどんどんクセのあるものになっていきました。
衣装もアレな感じがほぼ決まっていたので、どこか道化師のような、トリッキーな動きもドンドン増えていきました。

マリヤにとっての真実はただひとつ、デュークのサポートをすること。
そのためなら、そのほかの感情や言葉や仕草はすべて「演出」「フェイク」のつもりで作りました。
(最初は、山田の長台詞の間はいわゆる“ジョジョ立ち”してたりしましたね…さすがに無いかなと思って自粛しましたが)

ひとつ気をつけたのが、デュークに対する「崇拝」を嘘にしないこと。
私、こういう秘書ポジションを演じると「最終的にはこっちが黒幕なんだろうな」と思われる役作りになりがちです。
なんていうんだろ、結局一番の腹黒感というか、ラスボス感が出てしまうというか。

相方のデュークを演じる鉄平君が、実年齢的にもかーなり若かったので、並んで台詞をしゃべってると無意識でやってるとマリヤがデュークを操っているというか、上手く転がしてるように見えてしまいそうで。
そうならないことが、今回一番の目標でした。

だから、デュークの言動は全て肯定すること。
台詞の受け渡しでも、目線一つでも、全力でデュークを立てること。デュークを軽んじているような態度や仕草を一切出さないこと。
そうしているうちに、台詞が自分のものになってきて、どんどんぶっこんで来るデュークに合わせていたら、かなり動きなども派手派手しくなっていきました。
デュークと二人でY字バランスやったり、お姫様抱っこでクルクル3回転とかしてた。

動きだけが目立って、だいじな説明台詞が流れてしまわないように、とは常々言われていましたが。
そんな感じで最終稽古を迎えたのですが、最後の2回の通し稽古の前に、余計な、無駄な動き等を全て演出で削られました。
「今まで泳がせてたけど」と。

そっかー、遊びすぎてたかー。
と、全部削ってシュッとした芝居にして、最終稽古を終えました。
やり足りない感はとてもありましたが、えてして役者が「やりきった!気持ちいい!!」と感じる芝居はお客様には気持ちが悪いものです。
きっとそれだったんだな。自己満足部分を修正されて、見やすく整えて貰えたんだな。と思いました。

そのまま劇場入り、ゲネプロにて。
今回は出演しない劇団員の先輩から
「あそこまで衣装がキワモノなのに、芝居が普通で変」と率直な感想をもらいました。
やはり、衣装選びの時点で、演出家が想定したものの斜め上に行ってしまい、その衣装にそぐった芝居で、“これはこれで有り”なものを作りあげられなかった齟齬ゆえかと、とても焦りました。

初日を迎えて、過去だっしゅに客演していて、毎回とても鋭くアドバイスをくれる友人が観劇してくれた際に
「デュークもマリヤも、自分が大好きでお互いのことはそんなに気にしてないみたいに見える。デュークはそれでもいいけど、マリヤはデュークに対する愛がもっと見たい。愛が足りない」と。

衝撃でした。
そうとだけは見えて欲しくなかった。
初日の幕が上がってからでしたが、大迷路に放り込まれた気持ちでした。

色々、いろいろと考えて、基本ベース「崇拝」で作っていたデュークへの感情をもっと端的に「恋愛感情」に切り替えました。
二人で合わせて色々な動きや遊びを入れていた時にはそれで表現できてたコラボ感を削られてしまった状態では、より、わかりやすく表れやすい感情で表現するしかないと思いました。
二日目2ステージ、三日目2ステージ。
回を重ねるごとに、切り替えた感情もしっくり来るようになって、コラボ感も戻ってきたような手ごたえはありました。
でも、お客様にどう見えているのか。どう写っているのか。不安を抱えたままでした。
千秋楽の前夜、ほとんど眠れずにずっと考えこみました。
このまま幕を降ろしてしまって、私の中の「伊藤マリヤ」はちゃんと生ききれるだろうか。成仏できるだろうか。

最終稽古で余分な遊びを削られてから、ずっと私の中のマリヤがちがーう、ちがーう、と文句を言ってる気がしていました。
すっかり、私の中にマリヤは宿っていて、作り上げてきたものと違う人格でマリヤを演じていることにとても不満を持っていたみたいでした。

このままでは、私のマリヤは昇華できない。
生ききることができない。
その結論が見えてしまって、最終稽古でつけられた演出に逆らう決意をしました。
千秋楽だもん!やっちゃえ!!
幕さえ上がったら役者のもんだ、と演出家もいつもゆーてます。

千秋楽の朝、劇場に入ってからデュークに、「最終稽古の前の芝居にちょっとだけ戻したい」と相談しました。
私の中だけでもやもやしていたものに巻き込むのは申し訳なかったけど、デュークは賛同してくれました。
(「おれ、最終稽古前に何やってたかあんまり覚えてないんすけど」と言われたのには脱力しましたがっ)

といっても、そんなにいきなりガラッと戻すではなく、カットされた動きの中からいくつか一番おとなしめなものを選んで盛り込み。
台詞回しなどに関してはすこーしずつ戻って来てたかもしれないところを、明確に「こうやりたかった!」ってラインにのせて。

たぶん、やりきることが出来たと思います。
私の中ですでに生まれていた「伊藤マリヤ」で板の上に立つことができました。最後の最後だったけれどね。

こんな大仰に書いてきましたが、私たちの心持ち一つの話で、芝居の全体の中の役割としては与えられたものを大きく外したりはしてないはずです。
お客様からしたら、気が付かない程度の変化だったと思います。
けど、私の中では初日と千秋楽は別人のような気がする舞台でした。

初日・2日目・千秋楽と観劇してくれた前述の友人には
「どんどん“マリヤになっていく”感じがした。千秋楽は、ちゃんとデュークへの愛も感じた!」と、とても嬉しいコメントを貰いました。
悩みぬいて、でも妥協しなくて本当に良かった。

この文章を書いてる時点でも、思い出して何度も泣いてしまうくらい…ああ、辛かったな。でも、楽しかったな、と思います。

本打ち上げも終わって、劇団員のミーティングも終わって、演出家に今回の最終稽古から公演期間中の葛藤とかを聞いてもらいました。
いろいろ話してるうちに、自分の中でわかっていなかったこととして。

マリヤ達に与えられていた作品中の役割として、「大規模小売店舗法などの説明」っていうのがすごく大きくあったわけですが、
私自身としてはその辺の説明台詞をお客様に「届ける」というのは得意ジャンルなので、何回も稽古を重ねてるうちに充分できている自負はあったわけです。
ただ、それ以外の遊びの部分は逆に苦手意識があるところだから、全力でやりつくしてもそこまで見ている人にインパクトを残すのは難しかろうと。
だから、もっとやらなきゃ!単なる説明キャラにならないためにも、もっともっとやらなきゃ!って意識がどこかにあったのかも。
それが、自分が思ってる以上に重さのある「余計な遊び」が出来てしまって、本来の役割が果たせなくなっていたんじゃないかなと。
「説明」より「遊び」の比重が大きくなっちゃってたけど、自分では苦手意識があるもんだから、それに気が付けなかったというか。

そして、先述しました「デュークを立てる」意識の表れとして、「デュークよりも強く、明確に、上手く“伝える”」のはよろしくないと、バランスをとっていた部分もありました。

ここまで悩みぬいて、劇場に入って初日の幕が上がってまでも揺れまくる経験は私は初めてのことでした。
与えられたハードルにもう1歩、あと1歩というところまできてて本番を迎えてしまい、本番の中でそれを超えていった…ってことは何回もありましたが。

だからこそ、とてもとても思い入れ深く、愛着のある役作りができました。
伊藤マリヤは、すでに私というよりも私の上のほうにいる憧れの存在みたいになった気がする。
いつかまた、マリヤと再会できる日が来るまで、私自身も上昇していかなくてはですね。
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さて。話が前後しますが、ここまでながーく語ってきました“マリヤの心持ち”以外の点でも小ネタバレをいくつか。

・あぽんのこと。
デューク早乙女の口癖「アポン」はマリヤ&デュークの設定的には単なるネタではなく、彼らの関係性を表すのにはとても重大なキーワードでした。
序盤、調子に乗った山田が語尾に「アポン」とつけてマリヤに冷たくあしらわれるシーンがありましたが、あれも激高して詰め寄る、という芝居につくっていました。
(でもそれが「二人の"アポン"というワードに対しての思い入れの強さのネタバレになるから」とカット。シュッとした芝居になりましたが)

アポンチームのラストシーン、マリヤは初めて「アポン」というワードを口にします。
デュークから「手段は選ばなくて結構です」と、有る意味大きな権限を託されたのです。
あの時、初めてマリヤは焦がれていた「アポン」という言葉を口にしてもいいところまでたどり着いたのです。

ちなみに、台本上ではデュークのアポンはカタカナ、マリヤのはひらがな表記。
演出としては、「ここに和のテイストを入れて。外国語っぽくない、日本語っぽい感じで」と。
や、デュークも外国かぶれなだけで日本人なのですけどね。

…と、いうのをあの短いシーンで表現しなきゃいけないと言われたときは、マジか!と思いました。
難しいなぁ!!
マリヤの覚悟とか、いよいよ!という高ぶりとか。

そういうのを、デュークのその直前の芝居から受けて気持ちを作って滲み出させて。

「あぽん」と口にした瞬間を、マリヤのエクスタシーの瞬間にしてみました。

これは、近い距離で観てくれたお客さんには(特に女性)、結構伝わったみたいで。
その、台本と演出の求めていた設定の深いところまで全部は伝えきれなかったみたいだけど、何かしら引っ掛かり的なものは残せたんじゃないかなと思います。

そのあとの「山田君…忙しくなりますわよ」の目つきとか声のトーンとかに、それまで出していなかったマリヤの「策士で、黒い部分」を存分にのっけました。
私としては、“ランクアップした瞬間の、一つ器が大きくなった様子”のつもりだったんですが「本来やりたかった強硬手段をやっとできる喜び」に見えてしまったという感想をもらって、
ああちょっと方向的に狙ったとこと違うとこに踏み込んじゃったかもなと反省。


・誘い笑いのこと
今回、私、ぜひやってみたい・習得したいワザがありまして。
前回の本公演で、先輩のたろうさんがやってて、百発百中おもしろくて、お客さんにも大ウケだったワザ。
ワザってバラしたらいけないと思うのですが。だから長文の中に紛れさせてこっそり書くのですが。
舞台上、アドリブ…っぽい台詞やシーンで、「うっかり素で笑っちゃった」と見せる笑いです。
そのアドリブ?かな?なネタを、お客さんが「おもしろいなー」と思ってるけど、笑い声にまではつながらない時に、舞台上の役者がつい笑っちゃったりすると、それが誘い笑いになってお客さんからも笑いを引き出せたりするのです。
偶然それが起こってハマることってもちろんあるのですが、毎公演、必ず新鮮な笑いに見せるのって…すんごく難しい!!リアル感。生っぽさ感。
しかも、役を作りこんでいるキャラが素っぽさを見せて「つい笑っちゃってる」様って…すごく魅力的に見えたりするのですよね。

ですので、そのワザをどーしても身につけたくて、すっごく観察してました。
チャンスがあったらやってやろうと思ってました。

今回そのチャンスがありまして。
どこがどう、と細かく書くのはさすがに野暮なのでキーワードでいうと「立ち話」と「プロピア」。
ちゃんと、毎回笑っていただきました。やりたかったことで笑いがとれて、もーうれしかった!
私、自分からネタ発信して笑いをとるのはすごく苦手だし、自分がやらなくてもいいと思ってるけど、何か面白いことを共演者がした時に、よい間でツッコミをいれたり、今回みたいな誘い笑いを入れたり。
お客様がなんとなーく思っていることを代弁してあげることで笑いにつなげてあげる的な、サポート的な笑いの取り方は今後も研究していこうと思っている次第です。

・トッキュウジャーのこと
台本上のネタとして、ジュディオングはもともとあったネタでした。
ただ二人で並んで歌ってもねー、面白くないよねーと、かなり初期から背面の入れ替わり→千手観音→チューチュートレインっていう動きは作っていました。
(その後いろいろやってみたんだけど、これよりいいのが出来なかったんですよねー)
木の扮装で乱入してくる健太郎&万知子がチューチュートレインいつの間にか一緒にやってくれるようになって。

最終稽古の2回前くらいの時に、ふと思いついたんですよね。
チューチュートレイン、少し最後をキメたらトッキュウジャーのポーズになるんじゃない!?って。

特撮ネタって、知らない人は知らない、けど客席に2~3人は必ず知ってる人がいるネタなんですよね。
そして、やりきったところにその場にいる誰かにぽそっとツッコミを入れてもらったらそれなりに笑いにつながることを私は知っております。
2年前の「a colony」の時に、仮面ライダーフォーゼのネタを入れ込んで、稽古場では音響さんしか笑ってくれていない中、本番も強行して毎回りんりんさんが薄く笑いながら「フォーゼww」って言ってくれることで笑いにつながっていたんです。
だから、今回も山田に「トッキュウジャー?」的にツッコミ入れてもらったらきっといけると思って。

関わるみんなに根回しして、ネットで動画を確認してもらって。
鏡の前で何回か練習。

その場にいるのはデューク、マリヤ、万知子、健太郎で4人。万知子の手にしてる「けんちゃん人形」で5人。

…惜しいなー!もう1人いれば、一番ファンキーなトッキュウ6号のポーズまで入れ込めるのに!!

でも私の中では、このシーンたぶんおしお君がいきなり乱入してくるような気がしていました。
案の定、ゲネプロにて。おしお君は、ニヤリとしながら「知ってるよ、コレでしょ」と指を“6”に。
やったー!!以心伝心!!さすが貪欲でサービス精神旺盛なおしお君♪
というわけで、無事にトッキュウジャーポーズが完成したのでした。

本番も、そこそこウケたしね。

ウケはしましたが、これ、私のわがままで入れさせてもらったし、みんな付き合ってくれてたけど
ほんとは「なんだかなー」って思ってるだろうなと。
その場に出てないみんなも「やれやれ」くらいに呆れてるんだろうなと。
そう思っていたのですが、本番中、衣装の写真で記念撮影をする際、舞監さんから「赤じゅうたんひいてトッキュウジャーやって!写真撮りたい!!」と言ってもらえました。
みんな、嬉しそうに写真とってくれてて、なーんだ案外好評だったんじゃん!と胸を撫で下ろした次第です。
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なかなか決まってるでしょ、トッキュウジャー!!
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テーマ : 演劇・劇団
ジャンル : 学問・文化・芸術

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舞台出演情報

【客演情報】
劇団五○鬼(ごじゅっき)
『なんどのあわせ』

2017年11/23(木)~28(火)
北池袋新生館シアター

nando_tirasi_omote.jpg nando_tirasi_ura.jpg

プロフィール

みみね

  • Author:みみね
  • 本庄 美峰
    (ほんじょう みみね)
    6月10日生まれ、双子座B型。

    日常的なつぶやきはTwitterにて。
    アカウント【_mimine_】でやっております。

    フリーのMC・ナレーター・声優として活動中です。出演依頼、受付中!
    2010年2月1日より、劇団だっしゅの劇団員となりました。
    舞台出演も、精力的に頑張っていこうと思います。

    週末・祝日はキャラショーの「おねえさん」として、全国のステージに出没してます☆

    スパム的なコメント、公序良俗に反する宣伝コメントは削除させて頂きます。ご了承ください。
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